
大人ニキビを予防したい!取材で感じた専門家と研究者の熱い想いとは?
鏡を覗くと、あごに赤く腫れた「ニキビ」が!そんな繰り返しできる「大人ニキビ」について研究を行っているライオンの担当者と、皮膚科医の横山美保子先生にお話を伺いました。大人ニキビは、複数の生活習慣が重なって原因となり、それゆえに予防法も人によって異なるとのこと。また取材を通して、研究の裏側に込められた「一人ひとりに寄り添った生活習慣の提案でニキビ予防に貢献したい!」という熱い想いを垣間見ることができました。
「大人ニキビ」に悩んでいる方、いませんか?
こんにちは!Lidea編集部です。
顔にポツっと何かできてる?と鏡を覗くと、あごに赤く腫れた「ニキビ」を見つけて、がっくりする・・・。こんな感じで大人になっても定期的にニキビができてしまう、という経験は皆さんにはありますか?
一度できてしまうと、日に日に腫れてしまい、触らないように潰さないようにと気を使い、治ったと思ったらまた繰り返しできてしまう。お化粧をしてもなんだかニキビが気になって、人に会うのが億劫になってしまうことも。
ああ、ニキビに悩まされない日々を送りたい!!
そんな中、「大人ニキビ」について研究を行っているライオンの取り組みがあることを耳にしたLidea編集部。何やら興味深い情報が聞けそうだと、早速担当者に連絡を取ったところ、皮膚科のプロフェッショナルである横山先生にも話を聞きに行きましょう!とのお声がけが。
そこで今回の記事では、ライオンの大人ニキビ研究の担当者と、皮膚科医の横山先生にインタビューした内容をお届けします!
ストレス、生理、睡眠不足や食べ物・・・大人ニキビの原因は人によって違う!
Lidea編集部(以下、編集部) 今日はよろしくお願いします。横山先生、早速ですが「ニキビ」と言えば10代のころに顔にできていた印象がありますが、20代以降にできる「大人ニキビ」とは違うものなのですか?
横山先生 10代の方にできる思春期ニキビも、大人ニキビも、どちらも毛穴の詰まりという事象自体は同じですが、ニキビができる主な原因は異なります。思春期ニキビの主な原因は、性ホルモンの働きが非常に活発になり、その影響で皮脂腺から過剰に分泌される皮脂が毛穴に詰まること。一方で、大人ニキビができる原因は人によって様々です。
編集部 なるほど。大人ニキビの原因は1つではないのですね。
横山先生 はい。大人ニキビは、ストレス、生理、睡眠不足や食べ物などが原因になると考えられています。 例えば「ストレス」が生じると、ストレスホルモンの分泌が増え、その影響で皮脂の分泌が促されるためニキビにつながります。
編集部 ホルモンが関係しているのですね。そう考えると、生理もホルモンの変化で起こるものだと思いますが、ニキビの原因に「生理」が挙げられるのは、ホルモンと関係しているのでしょうか?
横山先生 はい、生理前は皮脂分泌を促す黄体ホルモンの分泌が増えるので、ニキビになりやすいと考えられています。
編集部 なるほど。では「睡眠不足」でニキビができやすくなるのはなぜでしょうか?
横山先生 睡眠不足によるニキビは、ホルモン以外にも、皮膚のターンオーバーの低下が原因だと言われています。皮膚の細胞は、寝ている間に分裂が活発になり、古い細胞が新しい細胞と入れ替わります。しかし睡眠不足になるとそれがうまくいかず、肌の状態が悪くなってしまうことでニキビができやすい状態になります。
編集部 それで睡眠不足は肌に大敵だと言われるのですね。他には、ニキビの原因に「食べ物」が挙げられるのは、どのような理由ですか?
横山先生 食べ物の影響についても、様々な研究結果が報告されています。例えば、糖質をとることで皮脂分泌が促されるという報告や、ニキビと乳製品中のホルモンなどの関係…例えば牛乳よりも加工乳の方がニキビになりやすいのではないかという報告もあります。
編集部 ニキビの原因は、私たちの生活習慣と深く関係しているのですね。よくわかりました。ただこれだけ色々な原因があると、今できている自分のニキビは、いったいどの生活習慣が良くなかったのか?と判断することは、なかなか難しそうです・・・。 先生、ニキビの原因だけでなく、治療に関する研究も進んでいるのですか?
横山先生 はい。実はこの数年でニキビ治療の研究は進んでいて、毛穴の詰まりを治す薬が登場したことで、病院では以前よりもニキビを早く治せるようになりました。とは言え、ニキビを初期の段階で治療すれば、その分、早く良くなるので、重症化する前に来院いただけるといいですね。
編集部 ニキビだと気づかない場合もあるし、ニキビで病院に行っていいのかなとつい思ってしまいます。ニキビ治療で来院される方は多いのでしょうか?
横山先生 昔はニキビで皮膚科に来院される方はとても少なく、一方でたくさん重症なニキビの人がいましたよね。でも今はニキビで来院する方がとても増えていて、近年は、ニキビに対する意識が高まっていると実感しています。
編集部 確かにここ数年で、世の中のスキンケア情報や商品は増えてきている気がしますね。病院では、治療以外にスキンケアについてもアドバイスしてもらえるのでしょうか?
横山先生 はい。病院では、スキンケアの指導も行っています。大人ニキビは乾燥が原因の場合もあるのですが、例えば、乾燥が原因でニキビができている方が、石けんで顔を強くこすって洗うとニキビには逆効果です。もちろんニキビを触ることや潰すことは良くないという注意事項は皆さん共通ですが、複数の原因が重なっている場合もあるので、その方に合う指導が重要です。
編集部 自分に合ったスキンケアが大切なのですね。よくわかりました!
「大人ニキビと生活習慣の関係」に関する調査報告は、実は少ない
編集部 大人ニキビについて理解できたところで渡部さんに質問です。まず、担当されているライオンの「大人ニキビの疫学研究」について教えてください。
担当 渡部さん(以下:渡部) 「大人ニキビの疫学研究」とは、大人ニキビの発症には、どういった生活習慣が関わっているのかを明らかにする調査のことです。先ほど横山先生がおっしゃったように、大人ニキビは、ストレスや睡眠不足、女性の場合は生理によるホルモンの変化などが原因になりうると考えられています。ただ、それらが大人ニキビとどのような関係があるのか、長期間にわたる日本人を対象とした調査報告はありません。
編集部 なるほど。ニキビの原因は分かってきているけれど、具体的な生活習慣との関連はまだ明らかになっていないのですね。これまで報告されてきた調査と、今回のプロジェクトの調査では何が違うのでしょうか?
渡部 これまでの調査では、医療機関などに集まった調査参加者に、過去のニキビや生活習慣などを思い出して回答していただく定点調査を行っています。一方で、今回、我々は、「2か月間」にわたってニキビの有無と「生活習慣」の記録を集め、それらの関係を調査しています。
編集部 なるほど。調査の方法も違うのですね。
渡部 定点調査は、一度の回答で良いので、調査参加者の方の負担が少ないことがメリットです。一方で大人ニキビは複数の原因が重なってできるので、定点調査で原因を紐解くのは難しいです。そのため、現状ではニキビを予防するための具体的な生活習慣を提案できていません。
編集部 「大人ニキビの疫学研究」は、まだまだ進化の余地があるのですね。
渡部 はい。一人ひとりに合わせたニキビの予防法はまだ確立されていないので、将来的には、その方のニキビ状態、体質や生活習慣に合わせて具体的な予防法を提案したいと考えています。
編集部 例えばどんな提案をしてもらえるイメージなのでしょうか?
渡部 例えば「今日から生理開始日までは6時間未満の睡眠を続けると、ニキビのリスクが高まります。」といったリスクと共に、「睡眠を6時間以上にする、または、1日に8000歩以上歩くとニキビのリスクが低下することが報告されているので、睡眠時間や1日の歩数を意識しましょう!※」などを提案するイメージです。
- 実際の提案とは異なる可能性があります。
編集部 そういった自分の生活に合った提案はとても嬉しいですね!
渡部 具体的な予防法を提案するためには、長期間、かつ継続的な情報をたくさん集める必要があります。しかし、長期間、毎日回答していただくのは非常に大変です。そこで、少しでも調査参加者の方の負担を減らすことができればと思い、生活に身近なスマホで回答できるアプリを開発しました。
編集部 調査に参加してくださる方への想いが、「アプリ」という形になったのですね!
渡部 アプリでは、「額にニキビはいくつありますか?」という質問に対して、イラストを見ながら数値を入力していただくなど、できるだけ負担が少ないようにしました。他にも使用中のスキンケア商品名はカメラで撮影していただく、歩数情報はスマホに記録されている歩数情報を活用するなど、調査参加者に入力いただく手間を省く工夫も施しました。
横山先生 とても細かく調査をしていますね。例えば生理周期だって自分で細かく記録する方は少ないから、こうやって色々な項目を記録する事は良いことですね。
編集部 2か月の間、アンケートに答えるのは大変かなと思っていましたが、簡単に回答できそうですね。何よりこの調査でニキビに困っている方がたくさん助けられるはず。
渡部 ありがとうございます。ニキビ予防の情報はネット上などにもたくさんありますが、どれが自分に合うのかわからず、不安に思われている方がたくさんいると思います。そのような方に、本当は何が原因なのか、一人ひとりがどのような生活習慣を送れば良いかを我々から提案できるよう、最初のステップとして、今回の調査を行っています!
ニキビに悩む方に、より良い生活習慣を提案したい!
編集部 そういえば、渡部さんはなぜ「大人ニキビの疫学研究」を始めようと思ったのですか?
渡部 自分自身がニキビで苦労した経験があるからです。繰り返すニキビに悩まされ、痕(あと)が残り大変でした。また、調べてみると、ニキビは日本人の約9割が経験しているとのこと。このような経験からニキビ悩みを解消するにはニキビの予防と治療の両方が重要だと思っています。
編集部 そんなに多くの人がニキビに悩んでいるんですね。ニキビ予防や治療 を考えた商品は市販されていますが、今回は薬でなく、生活習慣からのアプローチということなのですね。
渡部 横山先生もおっしゃったように、ニキビの原因は一人ひとり異なるので、「あなたに適した生活習慣やケア方法はこれです」と、その一人ひとりのニキビ悩みに寄り添った提案ができると、自信を持って生活できる世界が作れるのではないかと思っています。
編集部 たしかに、繰り返すニキビを予防できると、より良い毎日が過ごせそうですね!
横山先生 このような調査に協力する事で、自分の生活を見直すチャンスになるので、良いことだなと思います。ニキビ予防法に限らず、他の分野にも展開できる可能性がありそうですね。期待しています。
渡部 期待のお言葉、ありがとうございます。私たちは、まず、大人ニキビの調査をしていますが、他の分野にも展開できると思います。今回のような調査は、調査参加者のご協力なくしてはできないので、本当に感謝しています。
編集部 最後に、今後の展開について教えてください。
渡部 これまでライオンでは、大人ニキビの予防・治療のための製剤の提供や情報発信をしてきました。今後はそれに加えて、大人ニキビの予防から治療までをより効果的にサポートするサービスの構築を目指しています。最近では、AIを用いて「ニキビの原因となる菌を可視化する技術」を開発していて、今回お話しした「大人ニキビの疫学研究」の結果と組み合わせることで、毎日の肌状態の変化を確認しながら、一人ひとりに合ったニキビ予防ができるサービスを提供したいと考えています。
編集部 横山先生、渡部さん、お忙しいところ貴重なお話をありがとうございました!
スキンケアや生活習慣に気を付けているのに繰り返しできる「大人ニキビ」。様々な原因が絡み合ってできていることや、だからこそ予防したい・治療したいというおふたりの深い想いが取材を通して伝わってきました。
この「大人ニキビの疫学研究」が成功して、あなたに合った生活習慣の提案ができるようになり、たくさんの方のニキビ悩みが無くなりますように。
この記事を書いた人

Lidea編集部
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